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お勉強ノート あるいは、未来の自分へ向けた経過報告

お勉強のためのメモです。主なコンテンツは京都新聞の社説と心理学関係書籍の縮約、英文教科書の和訳です。目指しているのは「チャーリー・ゴードンの『経過報告』」。

第2章 信頼概念の整理(5)・・・社会的不確実性と用心深さ

山岸俊男「信頼の構造」縮約

社会的不確実性と用心深さ(原文:1762字 縮約:587字)

 社会的不確実性が存在している状況では、他者との相互作用に際して用心深くふるまう必要がある。このことは、信頼が意味をもつ状況は、同時に用心深さが必要とされる状況であることを意味している。この点を考えれば、他人を信じることと、他人との関係で用心深くふるまう必要を感じることとは、必ずしも同じ次元上の両極に位置しているとは限らない。そして実際、他者一般に対する信頼と、他人との関係において用心深くふるまう必要があるという信念とが同一次元上の両極に位置していないことは、これまでの因子分析研究で繰り返し明らかにされてきた。

 例えば筆者らが行った日米比較質問紙調査の結果の分析(Yamagishi & Yamagishi,1994)では、他者一般に対する信頼の程度を測定する項目が1つの因子(軸)を形成している。そしてこの因子は、他人との関係の中でうかうかしているとひどい目にあってしまうという信念に関する因子(軸)と、ある程度独立であることが示されている。

 これらの因子分析研究の結果は、人間は一般に信頼できると思っている人が、必ずしも対人関係でひどい目に合わされないように気をつけていないわけではないし、逆に、「気をつけていないと誰かに利用されてしまう」と思っているからといって、その人が「人を見たら泥棒と思え」というような他者一般に対する不信感をもっているわけではないことを示している。